どうして汗が臭いのか、または臭くなるのかを知れば、汗の臭いを心配してストレスを抱えることから解放されます。
小さな悩みのようで、電車に乗った時や、エレベーターなんかの密室、お友達と距離が近い時、都度都度「わたし汗臭くないかなぁ・・」って気になることが積み重なると結構なストレスですよね。
何も余計なことを考えずにその場をエンジョイできるように汗が臭ってしまう原因を知って対策をしてみてください♪
汗が出る汗腺によって臭いの種類が違う
哺乳類には汗腺と呼ばれる汗が分泌される器官がありますが、人間には2種類の汗腺があります。
2種類の汗腺から分泌される汗によって、発生する臭いの種類が異なります。
汗腺は大きく分けて2つ。アポクリン腺とエクリン腺
汗は、アポクリン腺とエクリン腺の大きく2つに分類された汗腺から分泌されます。
どちらの汗腺からの汗が多く分泌されるかによって、あなたの汗がどんなニオイを発生させるのかが異なります。
アポクリン腺、エクリン腺、それぞれの役割と、分泌される汗の種類、汗の臭いを知ることで、「どうして汗が臭いのか」その答えがわかります。
アポクリン腺はワキガ臭やニオイの原因となる汗腺
まずアポクリン腺から分泌される汗は「体臭やわきがの原因」になるものです。
体のごく限られた部分にあり、動物の場合、アポクリン腺によって異性を惹きつけることができます。いわゆるフェロモンが分泌されるのがアポクリン腺です。
人間では退化傾向にあり、特に日本人は退化傾向が強く強烈なワキガが日本人に少ないのはこのためです。
緊張した時やストレスを感じた時などにかく汗は、このアポクリン腺から分泌されます。
アポクリン腺から分泌される汗には、たんぱく質・脂質・アンモニア・鉄分・尿素などを多く含んでいおり、汗が多く分泌されると汗と皮膚常在菌の代謝によってワキガ臭の原因になると言われています。
後ほどご紹介するエクリン腺に比べ発汗量が多く、ドロっと粘度が高く乳白色または黄色なのが特徴で、分泌直後は臭いません。
腋の下、外耳道、乳首の周辺、肛門近辺、まぶたのまつ毛の生え際、小鼻、おへそ、陰部などに存在していて「大汗腺」とも言われます。
大汗腺と言われるくらい、汗腺自体の大きさも大きいのも特徴の一つです。
乳首やまつ毛の生え際は意外に思われるかもしれませんが、その他の箇所は、大抵ベタベタとした手触りとニオイを感じる場所ですよね。
ワキガなどの悪臭を放つ原因となるのが、このアポクリン腺から分泌される汗です。
エクリン腺は体温調節に必要な汗を出す汗腺
一方でエクリン腺は体温調節に関与しています。運動をしたときや夏場などにかく汗、辛いものを食べた時の汗はエクリン腺が反応していることで起こります。
哺乳類の中で、このエクリン腺が発達し、全身に分布しているのは主に人間やサルで、その他の動物は局所的にしか存在していないそうです。
エクリン腺から分泌される汗はほぼ水分で1日に1.5~2リットル分泌され、尿素・乳酸・塩分やミネラルが含まれているのが特徴です。
エクリン腺から分泌される汗は、ほとんどが水分なので、さらさらとしており、汗そのものは無味無臭です。
放置することで、雑菌が繁殖し、臭いが発生します。
アポクリン腺とエクリン腺の違いをおさらい
アポクリン腺から分泌される汗と、エクリン腺から分泌される汗の違いをおさらいしておきます。
アポクリン腺 | エクリン腺 | |
---|---|---|
分布 | 腋の下、外耳道、乳首の周辺、肛門近辺、まぶたのまつ毛の生え際、小鼻、おへそ、陰部 | 全身 |
発汗原因 | 緊張・ストレス | 体温調節 |
1日の量 | 人によって大きく異なる | 1.5〜2リットル |
汗腺のサイズ | 目視できるほど大きい | 目視できない |
汗の量 | エクリン腺から出る汗より多い | – |
汗の色 | 乳白色、黄色 | 透明 |
粘度 | 粘度がある | さらさら |
成分 | たんぱく質・脂質・アンモニア・鉄分・尿素 | 尿素・乳酸・塩分、ミネラル |
臭い | 無臭 | 無臭 |
汗の臭いは菌の発生によるもの
アポクリン腺、エクリン腺、それぞれの汗腺から出る汗について見てきましたが、どちらも発汗直後は臭くないことがわかっています。
では、なぜ、アポクリン腺から出る汗は悪臭とされるワキガの原因になり、エクリン腺はそこまで悪臭とは言えない汗臭として認識されるのでしょうか?
アポクリン腺から出る汗がワキガの原因になる理由
ワキガ臭の原因となる汗はアポクリン腺から出ていることに間違いはないのですが、アポクリン腺から出た直後の汗は臭いません。
アポクリン腺から分泌された汗には、たんぱく質・脂質などの成分が含まれるため、これらの成分を餌とする菌が繁殖し、腐敗し、悪臭が発生すると言われています。
このため、ワキガの治療として行われる手術では、このアポクリン腺を切除します。
エクリン腺から出た汗に群がる菌と、アポクリン腺から出た汗に群がる菌とが異なることで、汗の臭いなのかワキガとなるのかが違ってくるということです。
アポクリン腺が脇に多く見られることから、アポクリン腺=ワキガという認識が広まっていますが、すそワキガ(外陰部のワキガ)なども同様の原因です。
エクリン腺から出る汗も悪臭になる
アポクリン腺から分泌された汗がワキガ臭の原因となることが有名すぎて、霞んでしまいがちですが、エクリン腺から出る体温調節のために発汗する汗も、悪臭の原因になることも知っておいてください。
代表的なのは足の臭いで、足にはアポクリン腺はありませんが悪臭を放ちますよね。
足の臭いの根本原因も汗によるもので、汗と汗によって流れ出た皮脂や古い角質などによって皮膚常在菌が代謝し悪臭が発生しています。
汗とそこにいる菌、様々な要因でニオイは変わる
これらのことから、汗によって発生する臭いは下記のような性質があることを覚えておくと対策がしやすくなります。
- 汗そのものは臭いがしない
- 汗と菌によって臭いが発生する
- 臭いの質はそこにいる菌や様々な要因によって異なる
臭いが発生する場所によって、汗の種類・含まれる成分、そこに存在する常在菌、その部位の環境などによって悪臭となるのか、そうでないのかが異なってくるということですね。
汗の臭いを抑える対策方法
これまでご紹介したことから、汗の臭いを抑えるには、汗に含まれる成分や、菌、その部位の環境を整えることで汗の臭いを抑えることができそうだというのは想像できるかと思います。
強いワキガの場合などは手術の検討などが必要になりますが、そうでない場合は大きく改善できると思いますので、日々の中で無理なく対策ができるヒントをご紹介します。
臭いが強くなる部位には制汗剤を
雑菌が大好きな湿気がこもりやすい脇や足には制汗剤を使い、汗そのものをブロックするのがもっとも有効です。
市販のものや通販のものなどいろんな商品がありますが、効果が高いのは通販のものや、皮膚科処方のものがおすすめです。
市販のものは一時的な効果しかなく、制汗効果が一時的ではありますが、安価なので、持ち歩き常時使用することができ、こまめにお手入れができるマメな方は市販のものを使ってみるのも良いかと思います。
制汗剤を塗り直しする場合は、一度綺麗に汗や汚れを拭き取ってから、再度塗るようにしましょう。
汗をかいたら雑菌が繁殖するまでに拭き取りを
汗をかいたら拭き取るなど、こまめなケアですぐに改善可能なのが特徴です。
雑菌が繁殖した後でも、しっかりと拭き取ることで臭いがなくなりますので、こまめにケアをしましょう。
香り付きの拭き取りシートなどを使用する場合で、汗による臭いが完全に拭き取れていない場合や、再度汗による臭いが発生した場合に、香料と汗の臭いが混ざって、異様な臭いがする場合がありますので、臭いが強くなりがちな脇などは、できるだけ無香料のものを使用するのがおすすめです。
汗の成分を食事によってコントロールする
食事による汗の成分のコントロールは、即効性がないことから、持続性や効果を実感しにくいので、気をつけられる限り・・というスタンスの方が良いかと個人的には思っています。
制汗剤や汗の拭き取りでほとんど臭いは抑えられますので。
それでも、汗をさらさらにするための食事は、体にも良いので、ストレスにならない程度に、知識として持っておくと良いですよ。
洋食よりも和食、抗酸化食品・アルカリ食品・腸内環境を整える食品を積極的に摂ることがオススメです。
抗酸化食品ならビタミンCやE、βカロテン、カテキン、ポリフェノールなどが良く、緑黄色野菜や緑茶などに多く含まれています。
アルカリ食品は、酢や梅干し、海藻類などで、体内で乳酸などの産生を抑えニオイを抑制します。
腸内環境を整える食品は、食物繊維やオリゴ糖など。善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす効果が期待できます。
ちなみに、これらの食品がたくさん配合されたサプリが、口臭サプリや体臭サプリとして販売されています。
考えるのが面倒な時は、こういったサプリを利用するのもお手軽でおすすめです。
逆によくない食べ物は、肉類・にんにく・動物性脂肪・香辛料などが挙げられます。適度であればOKですが、過度に摂ると体臭の原因になるので気をつけてくださいね。リノール酸を多く含む油もNGです。
汗腺を鍛える
ちょっと吹き出しそうな表現ですが、良い汗を分泌できるように汗腺を鍛えることができます。
老化や、ずっとエアコン生活で汗をかかない生活などによって、汗腺の機能が弱くなってしまい、サラサラとした汗ではなく、ベタッとした汗をかきやすくなります。
さらさらとした汗はほとんどが水分なので蒸発しやすく、肌に残りにくいため、菌の発生も少なく臭いの発生リスクは大きくありません。
逆にベタッとした汗は肌に残りやすく、雑菌が繁殖しやすいことから臭いの原因になりやすいと言われています。
また、本来、汗は分泌され、それが蒸発することで体温調節をしているため、蒸発しにくいベタベタした汗では、体温調節の機能が低くなる側面もあり、熱中症のリスクが高いとも言われています。
汗腺を鍛える方法は、下記のようなものがあります。
- エアコンに頼り過ぎない
- 適度な運動
- ぬるめのお湯(36度)で10〜15分半身浴
- お風呂上がりは自然な発汗を
即効性のある汗臭対策は、汗の抑制・拭き取りが有効。
汗そのものの質をよくすることで、発汗後の汗臭の対策にもなります。
忙しいときに、最も有効なのは制汗ですが、制汗にマトを絞って対策するだけでも随分と汗臭を抑えられます。
汗がニオイやすい、脇や、足などを集中して対策するだけで大方問題がなくなりますので是非お試しください。
さらに慎重に汗臭対策を行いたい場合は、食事にも気を配り(大変そうであれば体臭サプリなどを上手に使ってみてください)、良い汗をかけるように汗腺トレーニングをしてみてください。
加齢によって、汗の質はどんどん悪くなるので、しっかりと対策して、素敵なお洋服を着ても体臭で台無しにしちゃわないような、汗臭くない、素敵な大人女性でいたいですね♪