30代〜40代後半に見られる、頭部を中心とした油が腐ったような嫌な臭いを放つ体臭「ミドル脂臭」。
この原因の大元は、汗に含まれる「乳酸」です。
乳酸が餌となり、頭皮に常在する「ブドウ球菌」が代謝・分解されることによってミドル脂臭の原因物質「ジアセチル」が発生し、頭皮の皮脂と混ざることで更に悪臭となります。
この大元である汗に含まれる「乳酸」をコントロールするという観点から、ミドル脂臭の予防・対策についてご紹介します。
なお、ミドル脂臭の予防と対策は、当記事内でもご紹介していますが、
- 正しいシャンプーで余分な皮脂を残さない
- ミドル脂臭に良い成分の入ったシャンプーを選ぶ
- ヘアスプレーなどで対処する
といった、外的対策も有効です。
むしろ、ミドル脂臭の予防・対策だけに重点を絞ると、外的対策の方が効果を感じやすいのですが、この記事でご紹介する汗に含まれる乳酸をコントロールすることは、ミドル脂臭だけでなく、汗臭などの体臭にも有効であり、更に健康にも良いため、実践するしないは別としてご参考いただければと思います。
ミドル脂臭の大元は汗の中の乳酸
30代、40代であるにもかかわらず頭部、耳の後ろ、首回りなどを中心に、強烈な油っぽいにおいを発しているなら、それは「ミドル脂臭」の可能性があります。
ミドル脂臭は30代半ばから50代半ばにかけて強くなる体臭のことで、男性・女性に関わらず発生します。
20代でも発生しうるミドル脂臭ですが、とくにこの30代半ばから40代後半は、男女ともに皮脂量が多く、またサラサラとしていた皮脂がドロっと粘度が増すため、皮脂が残りやすく、より強烈な悪臭になる傾向にあります。
女性においては、人によりますが、一般的に男性に比べて皮脂量が少ないため、男性に比べて悪臭率は低い傾向にありますが、皮脂量が多い場合は注意が必要です。
ミドル世代の女性は、ホルモンバランスの崩れなどで皮脂バランスも崩れやすくなるため、定期的に頭部周辺が臭くなるといった場合もミドル脂臭を疑ってみてください。
前置きが長くなりましたが、ミドル脂臭の原因は一体何なのでしょうか。
答えは冒頭にもお伝えした通り、大元は汗に含まれる「乳酸」です。
汗の中の乳酸とは?
厳密に言えば、ミドル脂臭のにおいの原因成分は「ジアセチル」と言う成分なのですが、このジアセチルは汗の中に含まれている乳酸が、皮膚上の常在菌であるブドウ球菌に代謝や分解されることで発生するものです。
つまり、乳酸を抑えることさえできれば、ミドル脂臭のにおいの原因物質であるジアセチルも減らすことができると言うこと。
通常、全身に分布する汗腺、「エクリン汗腺」から排出される汗は余分な成分が汗腺によって濾過され、そのほとんどが水分なのですが、食べ物や汗腺の衰えによって汗の質が悪くなると、乳酸やアンモニア、脂質などが、きちんと濾過されず汗に混ざって排出されます。
この余分に残ってしまった乳酸がミドル脂臭の大元の原因となってしまうということは、汗に含まれる乳酸を抑えることができればミドル脂臭の発生を予防できるということです。
残念ながら、わたしたち個人では、汗に含まれる乳酸の量を知る術がなく、これからご紹介する、乳酸を抑えるための生活習慣を実施したことによる結果はダイエットの結果のように体重やメジャーではかれるものではありませんが、乳酸を抑えるための生活習慣は健康にも繋がります。
ミドル脂臭がしているかしていないか、どれくらいの臭いがしているか、同年代の同性の平均値より数値が高いかなどを数値で計測できる体臭チェッカーでKunkun body(クンクン ボディ)というツールがあります。少しお値段はしますが、客観的な数値で改善をチェックすることができますので、ミドル脂臭対策にはかなり有効なツールです。
筆者も使っています!
体臭チェックツール「Kunkun body」の感想レビュー
詳しい使い方など当サイトのクンクンボディのカテゴリーをご覧ください。
カテゴリー:Kunkun body
「乳酸を抑えなきゃ!!」と躍起になってストレスを抱えてしまうほど真剣に実施する必要はありませんが(ストレスはすべての体臭の原因にもなり得ます)、生活の中でできることから取り入れていって見てください。
それでは乳酸を抑えるための生活習慣をご紹介いたします。
乳酸を抑える生活習慣でミドル脂臭を予防
体臭の改善は非常に難しいと考えられていますが、生活習慣を見直すことで乳酸を抑え、ミドル脂臭を予防することは可能です。
まずは現在の自分がどのような生活を送っているのかを見直してみると良いでしょう。
食事から乳酸を抑える
バランスの良い食事は健康の基本ですよね。
特に野菜をあまり食べず肉中心の食生活になっている、ジャンクフードなどの脂っこい食べ物を好む、間食を多くとっている人は要注意です。
ハイカロリーで栄養バランスが偏った食事は、乳酸の原因になるばかりか血行不良にも直結するので気を付けましょう。
乳酸を現象させる食べ物を食べよう
乳酸を除去できる食べ物を積極的に摂取することで、乳酸を抑えることができます。
乳酸を抑え、疲労回復に効果がある食べ物と言えば梅干しがおすすめです。
梅干しに含まれているクエン酸には乳酸分解作用があり、乳酸を分解・減少させる効果があります。またレモンやみかん、シークヮーサーなどの酸味が強い柑橘系の果物や、お酢もおすすめです。
お風呂上がりにお酢ジュース(スイーツビネガー)なんかも美味しくておすすめです。
お酢に含まれるクエン酸には殺菌効果があり、さらにお酢には発汗作用があるとされています。
入浴によって血行が促進された上にお酢の効果でより発汗を促すことができますので、次にご紹介する汗腺トレーニング時にも有効です。
汗腺トレーニングで乳酸を抑える
汗は通常、汗腺の機能によって、不要な物質をろ過した上で肌に排出されます。
昨今の常時エアコンで過ごす生活や、汗をかきにくい生活、加齢などで汗腺の機能が衰えると、このろ過機能が正常に働かなくなり、汗とともに、乳酸やアンモニア、脂質などが肌に排出されてしまいます。
これらの不要な物質は、ミドル脂臭と同じく、頭皮に関わらず皮膚の常在菌の餌となり、汗臭や体臭などの原因になります。
衰えた汗腺は、汗腺トレーニングを行うことで、衰えた機能を回復させることができます。
汗腺のろ過機能が正常に働くようになれば、体臭の原因となりうる物質が汗に混ざって排出される量が激減しますので、汗臭だけでなく、ミドル脂臭にも効果的とされています。
汗腺トレーニングで汗腺本来の機能を取り戻すのも汗に含まれる乳酸を減らす方法の一つとして取り入れてみてください。
汗腺トレーニングの方法は、別の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご参考ください。
規則正しい生活で乳酸を抑える
規則正しい生活を送ることで、乳酸を抑え、ミドル脂臭をケアすることができます。
特に現代人が陥りがちな寝不足やストレスには注意しましょう。
ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、体調面だけでなく、体臭や口臭にも大きく関わります。
寝不足や不規則な生活は血行不良をはじめ、様々な身体のトラブルを引き起こす要因にもなるため、少しずつ改善していくことをおすすめします。
とはいえ、人生で一番忙しいんじゃないかと言われる我々ミドル世代において、睡眠不足やストレスは、なかなか避けようのない事象であり、わかっちゃいるけど、避けて通れませんよね。
寝不足を解消しようと思っても、仕事や子育てでそうはいっていられない、「寝不足を解消しなくては・・・」と思えば思うほど、実現できない現実を目の当たりにし、更にストレスを加速してしまう。。。悪循環以外の何者でもないですよね。
今の生活を受け入れることも余計なストレスをかけない秘訣なのかもしれません。
可能であれば、寝不足を解消し、ストレス解消を心がけるくらいにとどめておくのが良いでしょう。
運動不足を解消して乳酸を抑える
運動不足の改善を行うことでも、乳酸を抑えることができます。
そもそも運動不足になると血行不良になり、身体に乳酸が溜まりやすくなってしまいます。
その結果汗腺が正常に働かなくなり汗をかきにくくなってしまったり、汗が出ないことで体温が上昇しやすくなる自律神経の乱れにも繋がる他、免疫力の低下や太りやすい体質にもなってしまうので気を付けましょう。
運動不足を改善することで乳酸を抑制し、ミドル脂臭のケアを狙うならば、有酸素運動が最もおすすめです。
身体に酸素を取り込む、軽度から中度の運動をし、身体に負荷を掛ける有酸素運動は、ダイエットにも効果的ですよね。
気になるにおいのケアになるだけでなく、美容面・健康面でも効果があるのでモチベーションも上がります。
有酸素運動の中でも比較的手軽に始められるのは、ジョギングやストレッチ、ウォーキングです。ジムに通うことができるなら、エアロビクスや水泳、エアロバイクもおすすめです。
高負荷をかけるような、筋トレなどは逆によくありません。
いつもは車を使うところを自転車に変えてみたり、自転車で行くところを徒歩に変えてみたりするだけでも有酸素運動を取り入れることができます。
しようと思っていたのに今日はできなかった・・・と落ち込むほど躍起にならず、まずはできることから始めてみてください。
テレビを見ながら踏み台昇降をしたり、エアロバイクを漕いだりの「ながら有酸素運動」もおすすめです。
ミドル脂臭の対策には頭皮のケアが大切で一番の近道
ミドル脂臭は後頭部を中心に広がるにおいであり、その原因は頭皮環境にあることもあります。
これまでお伝えしてきたような汗中の乳酸を抑制するために、どんなに規則正しい生活を送り、しっかり運動をしていても、やはり頭皮が不潔なままではにおいを解消することはできません。
お肌の改善と同じく、外側のケアと内側のケア両方をすることが、美肌への近道なのと同じで、ミドル脂臭もどちらか一方だけではケア不足に。
直接頭皮にできるミドル脂臭対策は、なんといってもシャンプーです。
ミドル脂臭の嫌なにおいは1度のシャンプーではなかなか落ちにくいため、2度洗いがおすすめです。この際、頭皮を傷めてしまわないように、指の腹で頭皮を揉むようにして汚れを落とし、シャンプーをしましょう。
美容室でシャンプーをしてもらっている時の美容師さんの指の当たり具合を思い出しながらシャンプーをすると正しいシャンプーの仕方がイメージしやすくなりますのでお試しください。
また、シャンプー剤が残っていると頭皮トラブルの原因になるため、洗い終わったらしっかりすすぎましょう。
コンディショナーを使う際は、頭皮にはなるべくコンディショナーがつかないように配慮しながらすると良いです。コンディショナーを流す時も、頭皮をマッサージしながら頭皮にコンディショナーが残らないように配慮するようにしましょう。
ミドル脂臭対策にはシャンプー選びも大切
正しいシャンプーのやり方だけでなく、シャンプー選びにも気をつけるのも良いですよ。
特に、若い頃から同じシャンプーを使い続けている場合は、年齢に合っているかどうか、今の悩みに合っているかどうかをチェックしてみてください。
長年使っているシャンプーを変えるのは勇気がいりますが、ミドル脂臭に悩んでいる場合、シャンプーを変えるだけで改善されることが多々ありますので、良い結果になることが大半です。
近年ではミドル脂臭に効果があるシャンプーも販売されています。
シャンプーを選ぶ際には、植物エキスが配合されているか、アミノ酸系シャンプーであるか、無添加でシリコンが使われていないかに気を付けましょう。
ミドル脂臭に効果的で、実際に使ってよかったものだけを3つご紹介した記事がありますので、よろしければご参考ください。
一朝一夕ではにおいを完全に抑え込むのはできませんが、日々の生活習慣を見直すことでミドル脂臭の原因である乳酸を抑え、少しずつ改善していくことはできます。
ちょっとした改善がにおいのケアに繋がるので、まずは自分がどのような生活を送っているのか、またどうすればより健康的な生活を送れるのかを考えてみましょう。
しつこいようですが、「乳酸を抑えなきゃ!」と躍起になってストレスを感じるならば、無理にする必要はありません。
ストレスは健康にも体臭や口臭にも大敵です。
シャンプーの仕方を見直す、ミドル脂臭に良いシャンプーを選ぶ、ミドル脂臭に効果的なヘアスプレーなどで対処するといった外的な対策でも十分な効果があります。
ぜひ、無理なく、乳酸を抑える生活を取り入れてみてください。