一言に「口臭」といってもその種類は様々。
この記事では、様々な原因で起こる口臭の種類をご紹介します。
口臭の原因は1つであることは稀で、これからご紹介する種類のいつくかが複合して口臭の原因となっていることがほとんどです。
口臭の種類がわかれば対策がしやすくなるので、あなたの口臭の種類がどれなのかチェックをしてみてくださいね。
生理的な口臭
生理的な口臭とは、人が生きていれば必ず発生する口臭で、一時的なもののことを言います。
お口の中ではたくさんの細菌が存在していて、タンパク質や脂肪を分解することでニオイ物質を作り出しています。
生理的口臭は様々ですが、比較的解消しやすく、誰にでもあるものなので神経質になるほどのものではありません。
- 主な発生場所
- 口内・舌の後ろの部分(舌苔【ぜったい】が付いている部分)
- 口臭の持続性
- 一時的
- 解消難易度
- 簡単(ブラッシング・うがい・唾液コントロール)
- 主な要因
- 朝起きた時の口臭(モーニングブレス)
- 緊張した時の口臭
- 疲れやストレスによる口臭
- 食後の口臭
- 加齢に伴う機能低下による口臭
- 女性の月経時の口臭
- ドライマウスによる口臭
- 舌苔・歯垢などのお口の汚れによる口臭
モーニングブレス
朝起きたときの口臭のことをモーニングブレスと言います。
朝起きたときの口臭は誰にでもあり、これは、寝ている間に唾液の分泌が減ることで口内の細菌が増えることで起こります。
朝起きたら、うがいをすることでほとんど臭わなくなります。
朝一番にお水を飲むと良いと言われることがありますが、朝起きてすぐのお口の中には細菌がたくさん繁殖しているので、飲んでしまうと、細菌も一緒に飲み込んでしまったり、あやまって肺に入ってしまったりすることもあるため、まずうがいをして、うがい後の水は吐き出すようにしましょう。
緊張したときの口臭
唾液は口内の自浄作用があり、口臭と唾液の量は深く関係しています。
緊張によって自律神経が正しく機能せず、唾液の分泌量が減ることで口臭が強くなることがあります。
疲れやストレス
疲れやストレスが強い時には、ネバネバした「粘液性唾液」が分泌され、疲れによって交感神経が優位になり、唾液の量が少なくなり、口臭が強くなります。
お口の中がネバネバするととても不快で食事もおいしくありません。
疲れをためないようにしましょう。
食後の口臭
これは気にするまでもない口臭で、食事をした直後に食べかすなどが舌や歯などに付着して起こる口臭です。
うがい、歯磨きをすることで簡単に解消できます。
加齢に伴う機能低下による口臭
加齢によって細胞の新陳代謝や、唾液の分泌機能が低下して、自浄作用が低下することによって起こります。
唾液による自浄作用が低下すると、舌についた汚れなどが唾液によって洗い流されず厚く付着し、入れ歯や歯も不潔になってしまいます。
歯磨きや舌苔(ぜったい)のケア、入れ歯のケアなどをきちんとすることで予防できます。
女性の生理的周期による口臭
女性の生理の時に口臭が臭くなることがあります。
これも生理的口臭として位置づけられています。
ですがはっきりとした原因はわかっていません。
女性ホルモンの乱れによってイライラが発生し、ストレス状態となることで、「疲れやストレスによる口臭」と同様の状態が作られるのではないか、はたまた、免疫力の低下によって、口臭の原因となる細菌が増殖するためではないかと、いろいろな原因が考えられています。
ドライマウスによる口臭
口を開けたままにしていることが多い人など、お口の中が乾燥していると唾液による自浄作用が働かないため口臭が発生します。
鼻呼吸ができている人でも唾液の分泌量が少ない場合はドライマウスによる口臭が発生します。
ガムを常にお口の中で転がしておくなど、唾液の分泌を促進することでドライマウスによる口臭は解消できます。
その口臭、女性ホルモンの乱れによる「ドライマウス」が原因かも!?唾液量を増やす簡単な方法
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舌苔(ぜったい)・歯垢などのお口の汚れによる口臭
これまでご紹介してきた生理的口臭が原因となって、舌から分泌される唾液の量が少ないと、お口の中の汚れが唾液によって自浄されずに、お口に汚れが溜まって口臭のもとになります。
舌が白っぽくなっていませんか?
もしかしたら黄色っぽく分厚く舌に色がついているかもしれません。
それが舌苔です。舌にある無数のヒダに食べかすや口臭の元となる細菌や細菌の死骸などが苔のように絡みついています。
特に、喉に近い舌の奥の方についた舌苔はニオイのもとになることが多く、舌専用のお手入れ用品などで舌苔のケアをすることで口臭を予防することができます。
歯垢もニオイの元となるので、食後の歯磨きなどでお口の中を物理的に清潔にすることと、唾液の分泌を促進し、唾液による自浄作用が働くように意識するだけで口臭が長引かず随分よくなります。
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生理的口臭の場合は、歯磨きやうがい、舌苔のケアなどで簡単に対策できる場合がほとんどです。
歯ブラシによるブラッシングだけでなく、フロスや歯間ブラシ、舌用ブラシなどを利用してお口の清潔を心がけましょう。
生理的口臭の場合は、お口の中のケアをきちんとした上で、口臭タブレットや口臭サプリでそのほとんどを改善することができます。
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飲食物・嗜好品による口臭
飲食物による口臭
- 主な発生場所
- 呼気
- 口臭の持続性
- 一時的ではあるものの生理的口臭に比べて長い
- 解消難易度
- 難しい(回避・におい吸着物質で予防)
- 主な要因
- にんにくを食べたことによる口臭
- ニラを食べたことによる口臭
- たまねぎを食べたことによる口臭
ニンニク、ニラ、玉ねぎのようにニオイの強いものを食べると口臭を感じます。
食べた直後のこれらの口臭は、食べた後にしっかりと歯磨きをして食べ残しを残さず、ガムを食べて唾液の分泌を促し、舌についたニオイ物質を洗いながすようにすることで、比較的早くニオイは無くなります。
ニンニクについては、ニンニクのにおい成分であるアリルメチルサルファイドが腸から吸収されて、呼吸時に息から出ることで口臭となります。
また、汗や尿にも混じって体臭としても表に出てきます。
この時間差攻撃でやってくるニンニク臭の対策方法としては、人と会う前には食べないなどの物理的なものしかありません。
栄養のあるものなので食べるのを完全に避けずに上手に食べたいですね。何よりもとても美味しいので。
時間が経過してから呼気や汗などで排出されるニンニクのにおいには、においを吸着するような物質を同時にとると効果的です。
吸着物質でにおいをからめとって腸に吸収させないようにします。
緑茶などのポリフェノールが含まれるものや牛乳はニオイ成分を吸着して吸収しにくくする働きがあると言われています。
にんにくを食べた後のニオイを完全になくすのは難しいですが、これらのものと一緒にとることで、随分ましになります。
お酒・タバコによる口臭
- 主な発生場所
- 呼気
- 口臭の持続性
- 一時的(アルコールの場合は一時的ではあるものの少し長い)
- 解消難易度
- 難しい(回避)
- 主な要因
- アルコール摂取による口臭
- 喫煙することによる口臭
喫煙による口臭
タバコを吸うことによって起こる口臭は、一時的なもので、時間が経てばすぐににおいは無くなります。
喫煙者の口臭が臭い要因は、多くの場合歯周病などの他の原因と、歯に付着したヤニが原因である場合がほとんどです。
喫煙すると歯周病が進行しやすく、歯周病のニオイと混ざって口臭がきつくなります。
また、歯に付着したヤニで常時口臭が発生している場合もあります。
ヤニにはアセトアルデヒド・酢酸・アンモニアなどのにおい物質が含まれており、これらが歯に付着することによって、そして歯周病も併発していればさらに悪臭になります。
喫煙後すぐにたばこのニオイが消えず、絶えず口臭がしている場合は、歯科医院を受診し、歯周病のチェックと治療、ヤニの除去をしてもらうようにしましょう。
ヤニの除去は自分でできるグッズも販売されていますが、歯を痛めてしまう場合もあり、歯周病のチェックもした方が良いので歯科医に見てもらうことをお勧めします。
アルコール摂取による口臭
アルコール摂取による口臭は、一時的なものと、体内に吸収されて呼気や汗などから体外に排出されるものと2通りあります。
同様に腸から吸収して体外に排出されるニオイにはニンニク臭がありますが、アルコール臭はそれほど強くありません。
アルコールが分解されてアセトアルデヒドという物質にかわり、アセトン臭(甘いニオイ)がします。
また、アルコールを摂取するとお手洗いが近くなることがあると思いますが、これは利尿作用によるもので、利尿作用によって体内の水分が不足して唾液の分泌量も減り、唾液によるお口の自浄作用が働かなくなり口臭がさらに強くなります。
よっぽどたくさんの飲酒をしなければ翌日にアルコール臭を持ち越す、ということはほとんどありませんが、水分不足などによって間接的に起こる口臭に注意するようにしましょう。
病的な口臭(歯や口の病気による口臭)
病的な口臭には2種類あって、口腔内の病気(虫歯や歯周病)、その他の内臓などのからだ病気によるものがあります。
からだの病気に起因する口臭は後ほどご紹介しますが、まずは口の中の病気が原因で起こる口臭を見てみましょう。
歯や口の病気による口臭の場合は比較的原因を特定しやすく、その原因を取り除けば口臭は自然と収まるのが特徴です。
虫歯による口臭
- 主な発生場所
- 口内・虫歯
- 口臭の持続性
- 常時
- 解消難易度
- 治療により容易
歯周病による口臭
- 主な発生場所
- 口内・歯茎
- 口臭の持続性
- 常時
- 解消難易度
- 治療により容易
病的な口臭(からだの病気による口臭)
病的な原因による口臭の中にはもう一つ、からだの病気による口臭があります。
お口の病気による口臭と違って、複合的に起こっていることも多く、原因を突き止めるのが難しい場合があります。
これからご紹介する、喉や鼻の病気に関しては、自覚症状も出やすくわかりやすいのですが、内臓系の病気に関しては自覚症状がない場合もあります。
歯周病や虫歯などのお口の病気による対処をしてもなお口臭が治らない場合は、何かしらの疾患がある可能性もあります。
からだの病気による口臭も原因が解消されれば自然と収まりますが、中には深刻な病気が原因である場合もあるので解決が難しい場合もあります。
まずは病院を受診して相談をするのが一番です。
何科に相談すれば良いがわからない場合は、大学病院などに設置されている口臭専門外来で相談するのが良いと思います。
歯科医院などで口臭外来を設置している場合もありますが、からだの病気が疑われる場合は、より専門的な検査ができる大学病院などの口臭外来がおすすめです。
喉・鼻の病気による口臭
- 主な発生場所
- 口内
- どんなにおい?
- 腐敗臭/タンパク質の壊疽臭
ドブのようなニオイ・血生臭いニオイ・肉が腐ったような臭い
以外に知られていないのが、喉や鼻の病気による口臭です。
蓄膿症(ちくのうしょう)や、慢性鼻炎、慢性扁桃腺炎、咽頭がんなどの病気です。
蓄膿症などの場合、膿が鼻から喉に流れてきて、口臭がすることがあります。
この場合は血生臭い、膿の臭いがします。
病気とは少し異なりますが、喉から発生する臭いとして有名なのは、通称「臭い玉」。
匂い玉は、正しくは「膿栓」と言い、喉(扁桃)にあるヒダに、食べかすや細菌、タンパク質や免疫細胞の死骸などが粒となってたまりニオイを放つことで口臭の原因となります。
喉が痛むような風邪を引いた後などにたまりやすい傾向にありますが、扁桃の形が人それぞれ違うため、膿栓が溜まりやすい人とそうでない人がいます。
とても嫌な表現ですが、膿栓ができている場合「ドブのような臭いの口臭」と表現されることが多いほど悪臭です。
内蔵の病気による口臭
糖尿病などの特定の病気や、胃・腎臓・肝臓などの内臓の病気によって起こる口臭もあります。
これらの特徴は、口臭の原因の特定が難しいことにあります。
これまでご紹介した、生理的口臭、そして、比較的見つけやすい内臓以外の病気による口臭の原因を取り除いた後にやっと見つかることも多いのが特徴です。
また、それらの口臭と複合的に起こっている場合の方が多く、さらに原因を突き止めるのが難しかったりします。
また、口臭測定器では特定のニオイの測定はできても、広範囲にわたる様々な種類の口臭を検査できません。
このため、口臭外来を設置しているような病院では、官能検査と言って、経験豊富な専門家の嗅覚によって行われる実際に人間の鼻で口臭を嗅ぎ分けて、その後の精密検査等で口臭の原因が病気であると突き止められることがあります。
糖尿病
- 主な発生場所
- 呼気
- どんなにおい?
- アセトン臭
果物が腐ったような、甘くクサイ臭い。
糖尿病によって過剰につくられたケトン体が血流に乗って肺に運ばれ、酸素と二酸化炭素とのやり取り(ガス交換)の時に息(呼気)にアセトンが多く排出されることによって口臭になります。
糖尿病によってブドウ糖が減少し、ブドウ糖が減少すると、脂肪がエネルギーとして使用され、その際にケトン体が増えることでアセトン臭が発生します。
呼吸器系(肺がん・肺嚢腫)・消化器系(胃がん・食道がん)
- 主な発生場所
- 呼気
- どんなにおい?
- タンパク質の壊疽臭
肉が腐ったような臭い。
がん細胞の壊死によって、その臭いが血管を通して肺に運ばれ、酸素と二酸化炭素とのやり取り(ガス交換)の時に息(呼気)となって出てくることが確認されています。
膿がたまることでその臭いが同様にガス交換によって呼気となって出てくることもあります。
また、口の中で増殖したカンジダが肺に感染することで起こる肺のカンジダ症も口臭の原因となり、この場合は甘い臭いと表現されることがあります。
肝臓(肝硬変)・腎臓(腎臓がん)
- 主な発生場所
- 呼気
- どんなにおい?
- アンモニア臭/トリメチルアミン臭
魚が腐ったような臭い。
魚を食べていないのに呼気から魚のニオイがしたら要注意。
腎臓の障害は、次にご紹介する「トリメチルアミン尿症」の後天的原因ともなります。
トリメチルアミン尿症
- 主な発生場所
- 呼気
- どんなにおい?
- トリメチルアミン臭
魚が腐ったような臭い。
トリメチルアミン尿症は、魚臭症、魚臭症候群とも呼ばれる病気です。
肝機能の障害によって後天的に発症する場合と、先天的な遺伝子の異常で発症する場合があります。
魚などに含まれるレシチンという脂質が体内で分解されるときに発生するニオイ物質「トリメチルアミン」が発生します。
通常であれば酵素がこのニオイ物質を分解するのですが、この酵素が先天的あるいは、後天的に欠損してしまっていることで悪臭がします。
呼気だけでなく、体臭としても強く現れます。
対処方法は、トリメチルアミンを多く発生させると言われている、魚介類や牛肉、大豆などの豆類を食べないことなど食事でのコントロール方法しかなく、現在も研究が進められていて、少しずつ進歩しています。
胃・食道の病気
- 主な発生場所
- 呼気
- どんなにおい?
- 酸っぱい臭い・・・逆流性食道炎・胃炎
タンパク質の壊疽臭(肉が腐ったような臭い)・・・胃がん・食道がん
胃が悪くて口臭がする・・・とよく言われますが、体の構造上、胃の調子が悪くてその胃の中の臭いそのものが口臭として直接体外に出ることはありません。(ゲップをすると臭いは出ます)
これまでの病気と同じように、血液から肺に流れ、呼気として口臭になって現れることがほとんどです。
但し、逆流性食道炎の場合は、胃酸が逆流して食道を通って口臭となって出てくることがあります。
酸っぱい臭いとその他の胃の臭いとが混ざって嫌な臭いがします。
心因性の口臭
口臭の種類でも多いのが心因性の口臭です。
心因性の口臭は「自分の口は臭い」「自分は口臭がある」と思い込んでいて、口臭検査でも口臭が認められません。
つまり、口臭がないのに、本人は口臭があると思い込んでいるのです。
自臭症とも言って、精神的な口臭です(口臭といっても本人しか感じていない)。
生理的口臭や、一時的な口臭が発生した時に、口臭を指摘された経験から、その後会話中などに相手の反応やしぐさが「臭いと思われている」と思い込みさらに自臭症の症状がひどくなることがあります。
症状がひどい場合には、ひきこもりになったり、対人恐怖症、ひととの関わりがストレスになったりと、社会的不適応を生じてしまうことがあります。
常時無臭である人はいません。
人に口臭や体臭が気になり、善意であっても指摘するときは、ニオイがおさまったときに「もう臭いしないよ♪」と教えることをセットにするようにしましょう。
口臭を指摘して、放置は絶対にするべきではありません。
中には全く気にしない人もいますが、善意をもって指摘したくなる相手というのは、人の気持ちや行動を気にかけることのできる真面目な方であることが多く、こういった人ほど、自分の口臭で人に迷惑をかけてはいけないと強く思うため、自臭症になりやすい傾向にあります。
まとめ
口臭と一言で言っても、その種類はたくさんあり、現代の医学をもってしても「○○が原因かもしれない」という予測で語られることも多く、日夜研究が進められています。
原因を特定しやすい種類の口臭(生理的口臭・虫歯・歯周病・喉・鼻の病気)で原因を取り除いたのにも関わらず口臭がおさまらない場合は、早めに病院を受診して口臭について相談するようにしましょう。